マッサージの複雑な法律的な問題

「マッサージ」の法律的な問題

先にこのページでの言葉の定義をしておきましょう。定義というか広く一般的に使われる「マッサージ」の使い方の確認ですね。

「マッサージ」とは、皮膚に手を当てて揉んだり押したりすること。

ヨーロッパあたりが発祥とされ、体調の改善を目的としてリンパの流れを整えたり、血行を良くさせたりすることをマッサージと言っていたそうです。もちろん、この手を当ててする動作は有史以前から行われていた動作だと思うので、発祥と言うか“名前が付いたのがヨーロッパ”という事でしょう。なので、便宜的に使われることが多く、結構広い意味を持っています。

国家資格の保有者が行うマッサージは、「指圧」「施術」「治療」。

国家資格を持たない人の一般人のマッサージは、「マッサージ」「肩もみ」「肩たたき」。

こんな感じでしょうか。

リラクゼーション、エステ、マッサージと色々と呼び名がありますが、国家資格を持っていないと広告などに「マッサージ」という言葉を使ってはいけないというルールがあります。

では、「マッサージ」は法律ではどういう定義がされているのかというと、実は細かい定義はされていません。

されていないというか、“法律を作る時、細かく定義する必要が無かった”という表現が正しいかもしれません。

マッサージの日本での歴史

「マッサージ」が日本に入ってきたのは明治時代と言われています。

日本にマッサージを持ってきたのはフランスでマッサージ療法を学んだ軍医さん。

なので、すぐに世間に広まるようなものではなかったと思います。この頃、マッサージ以外に手を使った療法は按摩(あんま)などが一般的でした。

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」が出来たのは昭和22年で、主に学校に通って試験を受けて国家資格を取らないといけない事や、この資格を持つ人だけが「あん摩マツサージ指圧」などの名称を使った広告(看板など)を出していいという事が定められています。

「広告関係ある?」と思う方もいるかもしれませんが、医師免許を持っていない人が「○×医院」という看板や「医者です」と名乗ってはいけないのと同じ感じだと思って問題無いと思います。

この法律の中に「マツサージ」という単語が出てきますが、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師の技術、そして「マッサージ」についての定義はされていません。つまり、あん摩マツサージ指圧師は施術・治療の中で押したり揉んだり叩いたりするけど、「押す、揉む、叩くという行為はマッサージ」という決まりはありませんでした。

これは、あん摩マツサージ指圧師が行う内容を誰もが理解していて、それ以外に無かった。という事が前提で法律が出来たと言っても間違いではないと思います。

しかしそうなると…マッサージの技術的な定義がされていないので、国家資格を持っていなくても「マッサージやってます」のような謳い方をしてしまう人達が出てきて問題になります。

子供が親の肩を叩いてあげたり肩揉みをしてあげたりするのは良いのに、これの何が問題なのかというと、指圧、針、お灸などの施術・治療は身体を強く押したり痛みを伴ったりするので、「人体に危害を及ぼす、もしくは人体に危害を及ぼす可能性のある行為」という位置づけで、これを知識や技術があると証明されてない人が行うと「危ないよ」ということが問題になります。

そして、「あん摩マツサージ指圧師」の「マッサージ」の文字だけを使って資格保有者が施術・治療すると誤解させる広告を出すこと。という点も問題になります。

マッサージの技術的な定義が文章化されない事が問題に思えますが、実際の判例などを見ると、文章化されていないマッサージの定義はあるみたいですし、争点になるのは「誤解させる広告」という点になるようです。

つまり、何度も書きますが、強く押したり関節を捻るような激しいマッサージ(施術・治療)は「ちゃんとした教育を受けた資格保有者でないと危ないよ」という事。

因みに、過去に厚生労働省が出した見解では、

というのが文章にされていないマッサージの定義のようです。

そもそも、マッサージの元の意味が広い意味だったのに、「あん摩マツサージ指圧師」で「マッサージ」という言葉を使ってしまったのが原因じゃないのか?と素人目には見えてしまいますが、もうこの形で何十年も使われているので仕方ないといえば仕方ないですね。

「柔道整復師」と「整体師」

また、「整」の字が付く「柔道整復師」と「整体師」も誤解を招きやすいです。

柔道整復師とは、その名の通り「柔道」での怪我(打撲、捻挫、脱臼、骨折などの損傷)を整復(正常な位置になおす)していた事が由来で、「整骨院」「接骨院」と言うとわかりやすいですね。

「脱臼や骨折した箇所を正常の位置になおす」と聞くと応急手当だったり治療みたいな感じですが、「医療類似行為」に分類されます。当然、国家資格が必要です。

対して整体師には法的な規則はありません。極論、「整体師」と名乗れば誰でもその場で整体師になれます。

とはいえ、一般的には「整体」を教える学校や講習を受けて「整体師」を名乗ります。「整体」の種類やその講習の期間はまちまちで、種類によって試験があったりなかったりなので、「整体師」の“レベルはピンきり”です。

まとめると、「接骨」「整骨」は国に認められた資格保有者。「整体」は誰でも出来る民間療法です。

問題なのは、この二つが名前も内容も似ているという事。

複雑化している整体の目的を簡単に言うと「骨のズレを矯正する」という内容です。

「正常な位置になおす」という点では同じ様に思えますよね?

また、押して矯正する場合は「指圧」にも似ています。

ですが、厳密に言うと目的が違うので区別されているのが現状です。

「ちゃんと区別されているなら問題ないのでは?」と思いますが、実際は個人の技量の差が激しく健康被害が報告されています。

知識もない人が痛い場所を体重をかけて強く押すのは、よくよく考えてみれば怖いですよね。

知識や技量がある人ならまず状態を観察・評価して確かめながらマッサージを始めます。

いきなりパワーMAX状態で力を入れてきたら「痛いから弱めて」とお願いしましょう。

その後リピートするかどうかは、効果をみてから決めるか、ちょっと避けた方が良いかもしれません。

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